本日は7番勝負という訳ではないが、集まった3人。
池澤・野川・小清水がVOWのフリートレーニングルームで汗を流す。

小清水 「ふぅ。そろそろ休憩にしましょ、休憩〜」
池澤 「あんまり疲れてないみたいじゃない?手抜きして無いでしょうね〜。
    ま、でもそうね。もう二時間、さすがに一息入れますか。」

3人がその場に座って各々休憩を取り始める。思い出したように野川が口を開く。

野川 「池澤さん、何で突然挑戦権に興味持ったんですか?」
池澤 「ん、何よ突然。」
野川 「いや、この間お邪魔した時あの話聞いて、私びっくりしたんですよ。」
小清水 「あ、知ってる。田村さんに挑戦するんでしょ?」
池澤 「まだ決まった訳じゃないわよ。」
野川 「何かあったんですか?」
池澤 「何か・・・ねぇ。まぁあったっちゃあったわよ。」
野川 「何ですか?」
池澤 「こないだの川澄さんとの試合見て、かな。」
野川 「私の、ですか?」
池澤 「そ。またちょっと上に登ってみたくなって。」
野川 「でも、池澤さん私の7番勝負が終わるまでは、って話じゃなかったでしたっけ?」
池澤 「さくらちゃんは、そもそもICベルトを狙って、ゆくゆくはヘビーのベルトも、って思ってるのよね?」
野川 「?え、えぇ。そりゃあ。」
池澤 「私言ったわよね。ベルトに対し強い執着心を持ってる人と一緒に少し合同練習をって。
    でも王者の地位に執着心があるのは私もだって話も。」
野川 「・・・」
池澤 「挑戦したい気はいつでも持っているの。いつかは、、ってね。それが、少し早くなっただけ。」
野川 「タッグじゃなくてですか?」
池澤 「それはどっちでもいいわ。ただ、すぐ側にチャンスがあるなら、やってみようかなってね。」
小清水 「それは確かに。自分をアピールできるチャンスがあるなら使わない手は無いですね。」

池澤 「・・・少し昔の話していい?」
野川 「?えぇ。聞かせて下さい。」
池澤 「知ってると思うけど、私、ヘビーのシングルのベルトだけは巻いたこと無いのよ。
    VWGPの時からね。タッグは多く戴冠したけれど。」
小清水 「その頃は私も見てました。飯塚雅弓さんとか榎本温子さんとか山本麻里安さんとか
     バンバン登場してましたよね。飯塚さんと岩男さんのエクストリームタッグとか憧れでした!!」

池澤 「タッグ王者としての私の経歴は結構自慢できるのよ。王座獲ったチームだけでも
    渕崎さんとのレッツ&ゴーとか白鳥由里ちゃんとのパラシュートシスターズ、
    氷上さんとのタッグや法子ちゃんとのタッグと、何気に引っ張りだこだったんだから。ただ・・・」
野川 「ただ?」
池澤 「法子ちゃん以外みんな、私のパートナーは先輩で、私単独の力はあまり認めてもらえなかった。」
野川 「そんな。」
池澤 「その時はね。だから悔しくてさ。けっこうシングルベルトにも噛み付いたんだよ。
    林原さんになんかかなりの数返り討ちにあったわね。椎名さんにも、國府田さんにも、
    宮村さんや丹下さんにも負けたし、、私こう考えると今の男固め組の中の人相手にも
    随分負けたかも。折笠さんとかとの挑戦者決定戦で負けたのも含めたら・・・
    かなり負けてるわね、、、なんかムカついてきた。」
野川 「ま、まぁまぁ。」
池澤 「徐々には力を認めてもらえ始めて・・・法子ちゃんとでタッグ王座獲れてからくらいかな、
    やっと私たちの世代が本格的に注目され始めた・・・
    けれどすぐさま、やまとなでしこってチームが台頭してきた。
    その後、群雄割拠の戦国時代になって、今のVOWに至るんだけどさ。」

小清水 「ふ〜ん。その時期を実際に通ってきた人には色々あるんですね。」
池澤 「・・・私、経歴としてはベテランと言われるのかも知れないけれど、
    田村ゆかりちゃんや川澄綾子ちゃんと、同学年なのよ?」
小清水 「!17歳ですか!!」
池澤 「・・・・・・そうね。・・・そこ!おいおい、とかガタガタ言(ry」
野川 「・・・。」
池澤 「同年代に抜かれちゃったとか、そう言うのは別に思わないんだけどさ、
    だって私には私の積み重ねたものがある。決して回り道だとは思わない。
    でも。」


池澤 「私もベルト、巻きたい。」


池澤 「・・・と、こんな感じ。まだ他にもあるんだけどさ、まずは挑戦権争いに勝ちあがってからのお話。」
野川 「そうですね。うん、私も頑張ります。」
池澤 「その意気で来てちょうだい。私の練習にもう少し付き合って貰うんだから。頑張ったら
    私がチャンピオンになった暁には、挑戦者に指名してあげてもよろしくてよ。」
野川 「何ですかその口調」


小清水 「よし決めた!!!」


突然大声を出す小清水。

池澤・野川 「何?突然。」

小清水 「決めた。今決めた。ヤング黒うさ杯、私出ようと思います。」
池澤 「お、いいねいいね。大いにやっておしまい!」
小清水 「待ってなさい!みんな私がやっつけるんだから!」
池澤 「そう!邪魔する奴はみんな蹴っ飛ばしてやりなさい!」
小清水 「私!トップに立つんだから!」
池澤 「私も!見てなさいよ〜!」
二人で空を指差してポーズをとる。

野川 「何なのこのノリは・・・」
池澤 「何言ってるのよ。貴方も当面はIC王座に向けて練習を怠らない。い〜い?
    斉藤千和ちゃんや釘宮理恵ちゃんといった実力者が
    次から次へとヘビーへの足がかりにと気合入れてるんだから。負けちゃダメよ!」
野川 「は、はぃぃ。」
池澤 「よろしい。じゃあ休憩終了。次の練習メニューは・・・・」
小清水 「そうと決まればGMの所に伝えてこなきゃ!!それじゃこの辺で。デュワッ!!」

小清水が走り去る。

池澤 「・・・・逃げたわね」
野川 「・・・・逃げましたね。」
池澤 「まぁいいわ、さっきまででも十分やったし。でも、私たちはまだこれからよ。
    疲れているココから先の積み重ねが重要なんだから、ってね。」


〜トーナメント前 池澤編終了〜

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